海外旅行や海外出張に行く時に困ることの1つに「時差ボケ」があります。
時差ボケは名前に「ボケ」が入っているせいか軽く見られがちですが、健康には大きな問題を起こします。
時差ボケの状態で活動すれば判断ミスが増え、交通事故などに繋がる可能性もあります。
特に日本からヨーロッパへの移動は時差が大きく、時差ボケが解消する前に帰国ということも少なくありません。
こちらでは時差ボケの基礎知識、時差ボケの対策方法を解説します。
時差ボケが起こる原因とは?
時差ボケは、時差がある環境に移動することで起こります。
これは生体リズムのずれによって起こると考えられています。
本来、人間は1日24時間の環境で生活しています。
その中で、人間の体内時計は24時間よりも少し長いと言われていますが、24時間との差は小さく1日の中で調整可能です。
ただ、時差が大きい環境へ移動するとその調整が間に合わずに生体リズムに異常をきたします。
生体リズムの中でも特にサーカディアンリズム(概日リズム)への影響が強いと言えます。
サーカディアンリズムとは、1日周期の生体リズムのことです。
様々なホルモン分泌は日内で変動しており、体温も日内で変動しています。
この変動によって睡眠リズムを整えていますが、時差の変化にこのリズムが追い付かないと夜眠れない、朝起きられないといった問題が起こり、寝不足になります。
また、寝不足でなくても元居た場所の時間で眠気のリズムが来ますので、日中に眠くなり夜に眠くならないなどの問題が起こります。
その結果が時差ボケとなります。
元々は時差があるところまで人間が短時間で移動することはありませんでしたが、飛行機の登場でそれが変わりました。
つまり、飛行機によって始めて起こった人間の問題ですので、本来の生物の機能として時差ボケに対応する機能などはないのが自然と言えます。
時差ボケは1日に何時間対応できる?
ではその時差ボケにはどれくらいの日数があれば対応できるのでしょうか?
一般的に言われるのが、1日に2時間の対応と言われています。
これは、先ほどのホルモン分泌や体温変動などのリズムが現地の時間に合わせて変わるのが1日2時間程度までということです。
もちろん、時差が10時間くらいあるところへ移動してもすぐに対応できるという人もいると思います。
ただ、ホルモン分泌などはそこまで短時間で変わらないと考えられています。
個人的な見解では、日本人は元々睡眠不足の人が多いですのでどんな時間帯でも比較的眠りやすいことが時差ぼけの対応を早くしていると考えています。
つまり、全くいいことではありませんがどこでも寝られてしまうくらいの慢性的な寝不足のせいで時差ボケの影響が少ないということです。
もちろんこれは健康上問題がありますので、全く自慢できることではありません。
正しい方法で時差ボケに対応するようにしてください!
日本からの主な国との時差
1日2時間が時差ボケに対応できる限度と考えれば、日本からの移動ではかなり時差対応が難しいことがわかります。
こちらが、主な国と日本との時差です。
日本からロンドン(イギリス)の時差 -9時間
日本からマドリード(スペイン)の時差 -8時間
日本からパリ(フランス)の時差 -8時間
日本からローマ(イタリア)の時差 -8時間
日本からベルリン(ドイツ)の時差 -8時間
日本からヨハネスブルク(南アフリカ)の時差 -7時間
日本からデリー(インド)の時差 -3.5時間
日本からバンコク(タイ)の時差 -2時間
日本からシンガポールの時差 -1時間
日本から北京(中国)の時差 -1時間
日本からソウル(韓国)の時差 0時間
日本からホノルル(アメリカ)の時差 -19時間
日本からロサンゼルス(アメリカ)の時差 -17時間
日本からニューヨーク(アメリカ)の時差 -14時間
日本からリオデジャネイロ(ブラジル)の時差 -12時間
このように、ヨーロッパ・アフリカ・アメリカ・南米などはかなりの時差があることがわかります。
これを先ほどの1日2時間の時差対応で考えれば、日本からフランスに行けば時差対応できるまで4日はかかるということです。
ニューヨークなら7日間、ホノルルなら10日かかります。
これは1週間のヨーロッパ旅行なら時差対応したらもう帰るくらいの時間です。
そして、帰ってきたらまた1週間ほどかけて日本の時間に対応するということです。
これは世界で戦うアスリートも同じです。
サッカー日本代表のヨーロッパ組(海外組)の選手は、ヨーロッパから帰国して3日程度で日本代表の試合を戦うことがありますが、これは時差ボケで試合をしているようなものです。
ミーティング中に寝ている選手がいたという話が出たこともありましたが、時差ボケの観点で言えばそれは当然のことです。
おすすめの時差ボケの対策方法!
そんな厄介な時差ボケにはどのように対応すればいいのでしょうか?
おすすめの時差ボケ対応方法としては、次のような方法があります。
・現地に着いたら太陽の光をしっかり浴びる
・現地についたら現地時間で3食しっかり食べる
・現地では無理に夜に寝ようとしない
・どうしても眠い場合は昼寝で対応
・飛行機では現地の朝~昼の時間にはなるべく寝ない
・出発前から少しでも現地時間に近い生活リズムにしておく
人間の睡眠リズムは光に依存しています。
朝起きたら日光浴をすることで、睡眠を司るホルモンであるメラトニンの分泌を抑えます。
そして朝に強い光を浴びてから14~16時間後に、メラトニンの分泌が最大になり自然な眠気が起こります。
その為、光の浴びる時間をすぐに現地時間に合わせることが大切です。
例えば、現地に着くのが現地時間の朝7時であればたとえ眠くてもしっかり光を浴びておきます。
現地について寝て起きたら昼頃であっても、起きたらすぐに外に出て光を浴びます。
日光浴は朝早くないと効果がないのではなく、“起きてからなるべく早く”がポイントです。
また、どうしても眠い場合は昼寝が有効です。
長時間寝ると睡眠リズムが崩れますが、短時間の昼寝であれば夜の睡眠への影響はほとんどありません。
昼寝は30分以内に収めれば夜の睡眠への影響は小さいと言えます。
また、時差ボケ対策は現地に着く前から始まります。
出発前から少しでも現地時間に近い生活をしておく方が、対応が早くなります。
時差が日本より早くなる場合は、少し早寝早起き生活にしておくだけでも時差への対応はスムーズになります。
時差ボケに対応する機能は人間に備わっていない
時差ボケ対策は便利すぎる飛行機の出現で現れた問題で、人間の進化の過程が対応できない文明の進化と言えます。
そのため、放っておいて対応できるという類の問題ではありません。
世界で活躍するアスリートですら、時差ボケの対応を誤ればパフォーマンスを大きく落としてしまいます。
それくらい難しい時差ボケの対応ですので、一般の旅行者が簡単に対応するのも大変です。
ただ、ご紹介したような工夫をするだけでも時差ボケの対応は早くなります。
本来の渡航の目的が何であれ、時差ボケの対応は早いに越したことはありません。
この記事が少しでも時差ボケの対応に役立てば幸いです!
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