睡眠のメカニズムはまだまだ分かっていないことも多いです。
そんな中分かっていることで、睡眠に関して重要なホルモンがあります。
天然の睡眠薬と呼ばれるそのホルモンが「メラトニン」です。
メラトニンが分泌することで人間は眠くなります。
このメラトニンの分泌のメカニズム、そしてメラトニンを上手に活用した睡眠方法を睡眠健康指導士上級が解説します。
メラトニンとは?
メラトニンとは、脳内で分泌されるホルモンの1つです。
メラトニンは体内時計に働きかけ、睡眠のリズムをコントロールします。
メラトニンは脳の松果体(しょうかたい)というところから分泌されます。
メラトニンは別名「天然の睡眠薬」と呼ばれます。
メラトニンによって自然な眠りが促され、自然と眠ることが一番理想的な睡眠と言えます。
メラトニンはサプリメントもありますが、日本では処方箋薬では使われていません。
サプリで摂ることも出来ますが、体内で生成できるホルモンですので、本来はサプリを使う必要はないと言えます。
海外のメラトニンのサプリメントは含有量がいい加減なことで有名で、錠剤ごとに含有量が異なると言われています。
それよりは、天然の睡眠薬と呼ばれる通り、自前でしっかり分泌させることが大切だと思います。
メラトニンサプリが使われるのは主に時差ボケ対策ですが、メラトニンサプリだけでなくこのメラトニンの分泌を現地時間に対応させることが大切です。
メラトニンの役割とは?
メラトニンの役割は、睡眠のスイッチのような役割です。
専門的に言えば「概日リズムの調整」と言えます。
メラトニンの役割は、簡単に言えば睡眠を促す役割です。
朝はメラトニンの分泌量が1日で最も少なく、覚醒の状態になります。
夜になると徐々にメラトニンの分泌量が増えていき、眠る前が最大の分泌量になります。
このような理想的な時間帯でメラトニンが分泌することで、睡眠のリズムが正しくなります。
ただ、現代はこのメラトニンの分泌が狂う環境で溢れています。
睡眠障害の改善には、このメラトニンの分泌を促すことがポイントになります。
メラトニンの分泌方法
メラトニンの分泌に関して気を付けることは大きく4つです。
①体内時計のリセット
②トリプトファンの摂取
③セロトニンの活性化
④メラトニンの分泌を抑制させない
①体内時計のリセット
まずいきなり矛盾するようですが、朝はメラトニンの分泌を抑えることが重要です。
メラトニンの特徴として、光に依存するという特徴があります。
これは、メラトニンの分泌が視交叉上核という目から繋がるところで行われるからです。
目から光を感知することで、「朝になった」と脳が判断してメラトニンの分泌が抑制されます。
いわゆる体内時計がリセットされる状態です。
そして、メラトニンの分泌は朝強い光を浴びてから14~16時間後に最大になります。
つまり、夜にがんばってもメラトニンの分泌が急に増えるわけではなく、夜しっかり寝る為には朝にしっかりと光を浴びて体内時計をリセットする必要があります。
②トリプトファンの摂取
そして次に必要なのが、トリプトファンの摂取です。
トリプトファンとは、栄養素の一つです。
トリプトファンはたんぱく質の一種で、「必須アミノ酸」と呼ばれます。
必須アミノ酸は、体内では生成できないという意味です。
つまり、食事から摂るしかないということです。
このトリプトファンがなぜ重要かというと、メラトニンの原料になるからです。
食事からトリプトファンを摂取し、それがセロトニンという物質に変わり、そのセロトニンがメラトニンになります。
つまり、トリプトファンの摂取が無ければメラトニンは生成できないということになります。
つまり、睡眠を改善するにはまずは栄養からということになります。
たんぱく質が豊富に含まれる食品は、次のようなものがあります。
・肉
・魚
・大豆(納豆など)
・卵
1日に必要なたんぱく質の摂取量は、体重1kgあたり1gと言われています。
体重が50kgの人なら50gです。
トリプトファンの摂取目安は体重1kgあたり2mgと言われています。
これは私の経験上の話ですが、たんぱく質の摂取目安をクリアすればトリプトファンの摂取量が不足することはまずないと言えます。
つまり、たんぱく質の摂取がしっかりしていればトリプトファンの摂取量は気にしなくていいと思います。
ただ、たんぱく質が不足するとメラトニンの生成は難しいと言えます。
③セロトニンの活性化
トリプトファンを摂取してもそのままメラトニンにはなりません。
トリプトファンはセロトニンという物質に変化します。
セロトニンは別名「幸せホルモン」と呼ばれ、ストレス物質と拮抗する物質と言われています。
トリプトファンがセロトニンに変化するには、リズム運動が必要と言われています。
リズム運動とは、次のようなものです。
・ウォーキング
・ジョギング
・ヨガ
・エアロビクス
・ガムを噛む
・よく噛んで食べる
このような運動を5分以上続けると、徐々にセロトニン神経が活性化すると言われています。
つまり、メラトニンの分泌には運動も重要ということです。
④メラトニンの分泌を抑制させない
ここまで朝に光を浴びて体内時計のリセットを行い、トリプトファンを摂取して、セロトニンの活性化を行ってきました。
ただ、最後の最後でメラトニンの分泌を阻害するものがあります。
それが「光」です。
メラトニンは光に依存しますが、光が強い環境ではメラトニンの分泌が抑制されます。
昔は夜になれば暗かったですが、エジソンが白熱電球を発明してからそれは変わりました。
さらに24時間社会が進み、夜でも活動するのが当たり前になってきました。
夜が暗い時代であれば何も気を付けなくてよかったですが、電灯があり照明があれば夜はいくらでも明るくなります。
さらに厄介なのがスマホやパソコン、テレビ、LED電球から発せられるブルーライトです。
ブルーライトは、太陽光に近い光の種類でメラトニンの分泌が非常に抑えられやすい光です。
特にスマホを夜に使うことでブルーライトを浴びることになり、メラトニンの分泌を抑制します。
その強い光を浴びると、メラトニンの分泌が抑えられてスムーズな睡眠ができません。
そして睡眠の質が悪化してしまいます。
メラトニンの天敵ブルーライトとは?
メラトニンの天敵とも言えるブルーライトですが、現代の生活では完全に取り除くことができません。
その為、上手くブルーライトをコントロールする必要があります。
いわゆるブルーライトカットが必要になります。
ブルーライトカットの方法は色々あります。
パソコンやスマホの画面に貼るブルーライトカットシートも有効です。
また、ブルーライトカット眼鏡も最近では多く作られています。
さらに、パソコンやスマホのアプリでブルーライトカットができるものもあります。
特にiPhoneでは、nightshiftモードという機能が標準装備されていますので、ブルーライトカットがしやすくなりました。
ただ、カットをしてもブルーライトが出ていることは変わりませんので、使わないに越したことはないです。
それでも、ブルーライトカットを施すと、その効果は大きいと言えます。
ちなみに、私はパソコンにもスマホにもブルーライトカットシートを貼り、ブルーライトカット眼鏡を常に使っています。
さらに、パソコンにもスマホにもブルーライトカットアプリを使用しています。
ここまで対策をするのと全くしないのでは、効果は全然違います。
メラトニンを活用した睡眠方法まとめ
メラトニンを活用した睡眠方法のまとめがこちらです。
①朝に光を浴びて体内時計をリセット
②たんぱく質を摂ってトリプトファンの摂取
③リズム運動でセロトニンの活性化
④ブルーライトカットでメラトニンの分泌を抑制させない
これらがしっかりできることで、天然の睡眠薬であるメラトニンがあなたの睡眠をしっかりサポートしてくれます。
これが本来の人間が持つ睡眠の機能です。
便利な生活と引き換えに失った人間本来の睡眠を取り戻すキーワードが、メラトニンと言えます!
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