睡眠障害に悩まされる人は、日本人の3人に1人とも言われています。
現代の日本で暮らしていれば、睡眠を妨害する環境に溢れています。
なかなか寝付けない、寝ても疲れが取れないなどの悩みは人それぞれで、どこからが少し睡眠の調子が悪い状態で、どこからが睡眠障害かの線引きも明確にはありません。
こちらでは、睡眠健康指導士が推奨する「睡眠障害対処12の指針」をご紹介します。
睡眠障害対処12の指針は、厚生労働省から発表されている正式なものです。
これは文字通り睡眠障害に対処する方法ですが、睡眠障害と呼ばないような不調の改善にも効果的な手法です。
睡眠に悩みがあっても解決方法が分からないという方は、まずはこの睡眠障害対処12の指針を参考にしてみてください。
- 睡眠障害対処12の指針とは?
- 睡眠障害対処12の指針
- 睡眠障害対処12の指針①睡眠時間は人それぞれ、日中の眠気で困らなければ十分
- 睡眠障害対処12の指針②刺激物を避け、眠る前には自分なりのリラックス方法
- 睡眠障害対処12の指針③眠たくなってから床に就く、就寝時刻にこだわり過ぎない
- 睡眠障害対処12の指針④同じ時刻に毎日起床
- 睡眠障害対処12の指針⑤光の利用でよい睡眠
- 睡眠障害対処12の指針⑥規則正しい3度の食事、規則的な運動習慣
- 睡眠障害対処12の指針⑦昼寝をするなら15時前の20~30分
- 睡眠障害対処12の指針⑧眠りが浅い時は、むしろ積極的に遅寝早起きに
- 睡眠障害対処12の指針⑨睡眠中の激しいいびき・呼吸停止や足のびくつき・むずむず感は要注意
- 睡眠障害対処12の指針⑩十分眠っても日中の眠気が強い時は専門医に
- 睡眠障害対処12の指針⑪睡眠薬代わりの寝酒は不眠のもと
- 睡眠障害対処12の指針⑫睡眠薬は医師の指示で正しく使えば安全
- 睡眠障害の種類とは?
睡眠障害対処12の指針とは?
睡眠障害対処12の指針とは、睡眠健康指導士が推奨する睡眠障害の対処方法です。
厚生労働省が推奨する正式なもので、広く認知しようとしているものです。
睡眠障害の対処方法は大きく2つに分けられます。
1つ目は、病院に行って医者の治療や薬を使う方法です。
これはどのような病気でも同じですが、医者の診察を受けて治療方針を決めて、薬を処方されて服用します。
これは睡眠障害であっても同じです。
2つ目は、日常生活の改善です。
睡眠障害は、日常生活の過ごし方に問題があって起こることが多いです。
特に近代ではパソコンの普及、スマホの普及、24時間社会などの様々な要因で睡眠障害が起こりやすくなっています。
このような睡眠を阻害する要因を取り除くような日常生活の送り方で、睡眠障害を改善させようというものです。
多くの場合は、病院に行きながら日常生活の改善を行うという場合が多いです。
薬を飲んだらきれいさっぱり治るというよりも、薬はあくまでも補助であってプラスアルファで日常生活の改善が必要です。
また、病院に行くほどのもの症状ではない場合には、日常生活の改善だけで治る場合が多いです。
つまり、どのような症状であっても睡眠障害の対処には日常生活の改善が必要です。
睡眠障害対処12の指針
では、睡眠障害対処12の指針をご紹介します。
名前の通り、12個あります。
睡眠障害対処12の指針①睡眠時間は人それぞれ、日中の眠気で困らなければ十分
睡眠時間については様々な見解があります。
「6時間寝れば大丈夫」
「8時間睡眠が理想」
「90分の倍数寝るのがいい」
このような睡眠時間に関する答えが、睡眠障害対処12の指針の1つ目です。
「睡眠時間は人それぞれ、日中の眠気で困らなければ十分」
つまり、適正な睡眠時間は人それぞれということです。
ロングスリーパー・ショートスリーパーという言葉ありますが、人よりも長く眠るべき人と、人よりも短く眠るべき人がいるということです。
このような睡眠時間の個人差はあるので、「8時間寝ないといけない」「6時間寝れば大丈夫」などの明確な基準を置くことは困難と言えます。
その為、適正な睡眠時間の基準は「日中の眠気で困らない」ということです。
個人的にはこの見解が正しいと思いますが、ただこれを推奨することにはやや疑問が残ります。
それは、「睡眠不足が続くと日中の眠気を把握しにくくなる」「日本人の睡眠時間は短過ぎるのに、それを助長させはしないか」という2点です。
睡眠不足の影響は、身体のありとあらゆるところで起こります。
睡眠を「身体・脳のメンテナンス時間」と考えれば、それは当然のことです。
睡眠不足になると、脳の機能が大きく低下します。
その為、睡眠不足が慢性化すると、「体が疲れている」「頭が働かなくなっている」などの感覚も鈍ります。
睡眠不足が続くほど、自分が元気であるかのような錯覚に陥る可能性があります。
「俺は寝なくて大丈夫な人だから」
というセリフは誰もが一度は聞いたことがあると思いますが、そんな人がいれば突然変異中の突然変異か、この睡眠不足を自覚できなくなっているかのいずれかです。
100%睡眠不足を自覚できていないだけと考えるべきでしょう。
つまり、適正な睡眠時間を日中の眠気で判断してしまうと、そもそも睡眠不足の人はその判断が正確に出来ないということになります。
その為、睡眠不足がそのまま放置される可能性が高いです。
個人的には、適正な睡眠時間は一般的な数値を基本と考え、その範囲に抑えるのを大前提とします。
ただ、中には適正な睡眠時間よりも短い人、長い人がいるのでそこまでこだわる必要はないというくらいのスタンスが良いと思います。
ただし、ショートスリーパーの比率は非常に少なく、また大半の日本人は睡眠不足ですので安易に「自分はショートスリーパー」と判断するのは非常に危険なことと言えます。
現代の日本人は、世界で見ても圧倒的に睡眠時間の短い国民です。
日本人の睡眠時間は韓国人と並んで世界最低レベルです。
そして、その数値は悪化の一途を辿っています。
日本では高度経済成長期から睡眠時間がどんどん下がり、日本人の平均睡眠時間はここ50年で1時間も減少しています。
50年で人間が進化することはあり得ませんので、日本人は慢性的に睡眠不足になっていると言えます。
また、厚生労働省の調査では、日本人の40%以上が睡眠時間6時間を切っていると言われています。
さらに働く世代の睡眠時間の短さは顕著で、40代では約50%が睡眠時間6時間を切っています。
睡眠時間6時間未満がどのような状態かというと、脳の働きは酔っ払っているのと同じレベルと言われています。
つまり、日本人の半分は酔っ払って仕事をしているのと同じ状態です。
日本人はヨーロッパやアフリカなどと比べて、睡眠時間が短くて大丈夫な人種では?
という意見もあるかもしれません。
しかし、日本人は50年前まではここまで睡眠時間が短くなかったことでまずその可能性が非常に低いと言えます。
さらに、研究結果などなくても、日本の電車に乗れば日本人がどれだけ睡眠不足かわかります。
電車で座っている人の寝ている人数、寝方、寝ている時間帯などを考えても明らかに寝すぎです。
これは日本人が睡眠不足であることを証明する一幕です。
学生であれば授業中の居眠り、社会人であれば会議中の眠気など、日中に眠気と戦っている人が多いと思います。
睡眠障害対処12の指針①は「睡眠時間は人それぞれ、日中の眠気で困らなければ十分」です。
日中の眠気で困らなくても、日中に眠気と戦わなければならない人、そして眠気との戦いに敗れ続けている人は睡眠不足と考えていいと思います。
授業がつまらなくても、会議が退屈でも眠くなる理由にはなりません。
日中の眠気に思い当たる節がある人は、睡眠不足と考えた方がいいと思います。
睡眠障害対処12の指針②刺激物を避け、眠る前には自分なりのリラックス方法
睡眠に悪影響を及ぼす刺激物は、色々なものがあります。
代表的な刺激物としては、次のようなものがあります。
・タバコ
・カフェインを含む食品
・アルコール類
タバコに関しては、睡眠に関してだけではなく百害あって一利なしです。
副流煙の影響で周りに悪影響を及ぼすので、睡眠に関係なく辞めてください。
カフェインに関しては、代表的なものでコーヒーがありますがコーヒー以外にも様々な食品に含まれます。
カフェインが含まれる食品には、次のようなものがあります。
・コーヒー
・日本茶(緑茶)
・紅茶
・ココア
・栄養ドリンク(エナジードリンク)
・コーラ
・チョコレート
コーヒーはカフェインの代表格というイメージがありますが、それ以外にも多くの食品に含まれます。
実は、コーヒーよりも緑茶の方がカフェインの含有量が多いとも言われています。
ココアや紅茶などは夜にも飲まれやすいと思いますが、注意が必要です。
栄養ドリンク類はほぼ間違いなくカフェインが多く含まれています。
アメリカではカフェイン中毒などの報告があり、その影響は睡眠には限りません。
また、知らないうちにカフェインを摂取している可能性が高いのがチョコレートです。
これはチョコレートが含まれるお菓子類にも、カフェインが含まれるということです。
夜食でチョコレートなどは、睡眠にとっては最悪の影響です。
カフェインの作用時間
カフェインは摂取した直後に作用する訳ではなく、また延々と効果が続く訳でもありません。
カフェインの作用時間は、カフェインの摂取から30~40分後に出現すると言われています。
また、カフェインの摂取後4~5時間持続すると言われています。
これらは、腸内環境やカフェインの摂取量によっても異なります。
睡眠障害への対処、睡眠の質の向上と考えれば眠る4時間前からはカフェインの摂取は避けることをおすすめします。
眠る前に効果的なリラックス法
眠る前には自分なりのリラックス法というのが、睡眠障害対処12の指針で示されているところです。
「自分なりの」というところが困りますが、これに関してははっきりしたデータが出て来ないことが挙げられます。
一般的に眠る前のリラックス方法としては、次のようなものがあります。
・アロマ
・音楽
・ストレッチ
・読書
・半身浴
これらは、効果がある人もいればあまり効果のない人もいます。
やり方によっては、逆効果になる場合もあります。
アロマは人によっては効果が変わります。
一般的には、カモミールなどのリラックス効果が高いと言われています。
しかし、人によってはカモミールでも逆効果です。
普段アロマを使う習慣がない人にとっては、アロマがあるだけでもストレスになり逆効果になります。
基本的にこれらのリラックス法は、「自分が心地よいと感じるか」がリラックス効果のポイントです。
自分がかいでリラックスするアロマであれば効果があるし、不快に思えば逆効果です。
音楽も同じで、何となく睡眠に良さそうな音楽でも、その人が心地よいと感じる音楽・音量でなければ効果はありません。
うるさい、不快と感じれば逆効果です。
よく難しい本を読めば眠れるという人がいますが、これはその本に眠る効果があるとは考えにくいです。
よりも難しい本で眠くなる場合は、そもそもの睡眠負債が多すぎるだけかもしれません。
睡眠障害対処12の指針③眠たくなってから床に就く、就寝時刻にこだわり過ぎない
睡眠障害対処12の指針③は、「眠たくなってから床に就く。就寝時刻にはこだわり過ぎない」です。
早寝早起きと言われますが、就寝時刻(早寝)にはこだわり過ぎない方がいいという、一見矛盾したような内容です。
しかし、これは早寝早起きという概念の方に誤りがあると言えます。
無理なく睡眠時間を確保するには、この就寝時刻にはこだわり過ぎないというポイントが重要です。
その理由は、眠りのメカニズムから分かります。
睡眠に重要なホルモンにメラトニンという物質があります。
このメラトニンが分泌することで、人間は眠たくなります。
このメラトニンの分泌のメカニズムは色々ありますが、朝に強い光を浴びてから14時間~16時間後に最大になることが分かっています。
つまり、朝に強い光を浴びることが夜の眠りをスムーズにします。
朝に強い光を浴びてから14時間~16時間後が眠りやすい時間ですが、その前の時間帯は体温が高く、眠りにくい状態であると言われています。
つまり、いつもより早く寝ようとすると、この眠りにくい時間帯に寝ようとする可能性が高いです。
そうなると、なかなかうまく眠れません。
「明日朝が早いので早く寝ようとして上手くいかなかった」という経験がある方も多いと思います。
これは、メラトニンの分泌や体温の問題で起こります。
その為、理論上「早寝」は難しいと言えます。
メラトニンの分泌を考えれば、早起きから始める方が賢明です。
無理やり早い時間に寝ようとすると上手くいかないということを、「就寝時刻にこだわり過ぎない」ということで、睡眠障害対処12の指針では言っています。
また、この眠りにくい時間帯でもすぐ寝られるという人もいると思います。
この場合はなんとなく健康そうですが、実は真逆です。
どこでもいつでも眠れるということは、それだけ脳内に睡眠物質や疲労物質が溜まっている=寝不足と言えます。
この寝不足の状態は睡眠負債と呼ばれ、多くの日本人が抱えていると言われています。
刺激制御療法
この眠りにくい時間帯に無理やり寝ようとして、結果的に眠れないということを繰り返すと、どんどん眠りにくい状態が生まれます。
布団に入っても、「また眠れないんじゃないか?」という不安が起こると、それがまた入眠を妨げます。
この悪循環に陥ると、睡眠障害が長期化しやすいです。
この悪循環を絶つ方法として、「刺激制御療法」というものがあります。
これは、眠れなさそうな状態では布団に入らず、眠れる状態が整ってから布団に入るという方法です。
布団に入る=眠れないという状態を抑え、十分眠たくなってから布団に入ります。
目安は、先ほどのメラトニンの分泌の通り朝起きてから14時間~16時間後です。
そろそろ眠る時間だけどまだ眠たくないという場合は、部屋を暗くして眠れる環境を作ります。
その後、弱い照明で読書をしたりリラックスできる音楽を聴いたり、軽いストレッチをしたりと自分なりのリラックス法を行います。
その後、眠たくなってから布団に入る。
これが刺激制御療法のやり方です。
睡眠障害対処12の指針の就寝時刻にはこだわり過ぎないというのは、この刺激制御療法のことも言っています。
このように、無理に早寝をしようとしても難しいのが睡眠のメカニズムです。
まずは早起きから始めるように、朝に強い光を浴びて体内時計をリセットしましょう!
それがメラトニンの分泌から考える、自然な睡眠の方法です。
睡眠障害対処12の指針④同じ時刻に毎日起床
睡眠障害対処12の指針4番目は、「同じ時刻に毎日起床」です。
よく規則正しい生活習慣と言われますが、それには根拠があります。
特に平日は寝不足が続き、週末に寝だめをするという人には耳が痛い話だと思いますが、メカニズムを理解すると対策ができるようになります。
睡眠のメカニズムとして重要なのが、メラトニンというホルモンの働きです。
このメラトニンが分泌することで、眠気が起こって自然の眠りが起こります。
そのため、メラトニンは天然の睡眠薬と呼ばれることもあります。
メラトニンの分泌のメカニズムですが、起床後強い光を浴びてからおおむね14~16時間後と言われています。
つまり、起床時間によってメラトニンの分泌は左右されます。
これが、同じ時刻に毎日起床する意味です。
メラトニンの分泌でいえば、朝起きるのが遅くなれば夜に自然な眠りが出る時間も遅くなります。
朝起きるのが遅くなり、昼間で寝ていて夜にいつも通りの時間に寝ようとしても、メラトニンの分泌が弱くてなかなか眠れません。
それでも寝られるという方もいると思いますが、それは睡眠負債が溜まった状態ですのでより深刻な状態と言えます。
そう言われても、どうしても平日は忙しくて睡眠不足になり、休日は遅くまで寝ているという人は多いと思います。
そういう傾向がある方が注意しなくてはいけないのが、ブルーマンデー症候群です。
サザエさん症候群とも呼ばれますが、これは休み明けの出勤が憂鬱になり、場合によっては体調までおかしくなる症状です。
もちろん仕事に対するモチベーションの問題であることも多いですが、この週末寝だめによる睡眠障害の一種である場合もあります。
先ほどのメラトニンの分泌の関係で、起きた時間でメラトニンの分泌の時間が決まるとありました。
つまり朝が遅いと夜も遅くなり、月曜日に寝不足の状態になります。
日本にいながら時差ぼけのような状態です。
この寝不足、時差ぼけの状態が気分の落ち込みや体調不良を引き起こします。
その対策として必要なのが、「同じ時刻に毎日起床」です。
疲れているから昼間で寝るという行動が、逆に疲れを引き起こすという悪循環です。
このように、ブルーマンデー症候群に陥っている人も多く、自覚していないけどもブルーマンデー症候群という人も多いと思います。
ブルーマンデー症候群の対策方法が、睡眠障害対処12の指針④「同じ時刻に毎日起床」です。
ただ、寝不足の状態で毎日早起きは厳しいですので、睡眠時間の確保も必要です。
ブルーマンデー症候群にならない範囲で起きる時間を遅らすのは、2時間が限度と言われています。
また、起きる時間を遅らせるだけでなく、昼寝を効果的に使えると睡眠不足の解消にも繋がります。
そして早起きをしていれば早寝ができますので、早めに寝て月曜日を迎えるとすっきりした状態で仕事に迎えると思います。
このようないいリズムを作るためのアドバイスが、睡眠障害対処12の指針④「同じ時刻に毎日起床」です!
睡眠障害対処12の指針⑤光の利用でよい睡眠
睡眠障害対処12の指針の5番目は、「光の利用でよい睡眠」です。
睡眠は光に依存して起こります。
これは、メラトニンという睡眠に関わるホルモンが関係します。
メラトニンが脳内で分泌することで、人は眠くなりスムーズな入眠、質の高い睡眠に繋がります。
朝はメラトニンの分泌が弱まることで、目が覚めて活動できるようになります。
簡単に言えば、明るければメラトニンの分泌が抑制されて起きる、暗ければメラトニンが分泌して眠くなるということです。
ここまで単純ではないですが、大枠はこのような原理です。
つまり、朝は明るい環境で過ごし、夜は暗い環境で過ごせば睡眠がとりやすい環境と言えます。
太陽が昇ると明るくなり、太陽が沈むと暗くなるので、普通に過ごしていれば睡眠がとりやすい環境になると思います。
ところが、エジソンが白熱電球を発明して以降そうではなくなりました。
電気がついていれば夜でも明るい環境ですので、いくらでも起きていられるようになりました。
また、人口が密集した都心部では狭くて暗い部屋が多く、室内で過ごしていると日中でも暗い環境です。
さらに、デスクワークの増加などで日中を室内で過ごす人が増え、益々日中が暗い環境になっています。
つまり現代は「日中暗く夜明るい環境」になりやすく、睡眠にとってはよくない環境が作られています。
まずは、日中明るくする方法を見ていきます。
その前に、日中だけでなく朝起きてすぐに強い光を浴びることが大切です。
メラトニンの分泌は明るさだけでなく、朝に強い光を浴びてからどれくらい経過したかも重要なポイントになります。
メラトニンの分泌が多くなる(つまり眠くなる)のは、朝起きて強い光を浴びてから14~16時間後と言われています。
つまり、朝光を浴びるのは日中に眠くなく活動的に過ごせるだけでなく、夜の入眠にも影響します。
そのため、「早寝早起き」ではなく「早起き早寝」の順番で改善すべきと言われています。
強い光とは具体的にどのようなものかというと、太陽の光です。
ブライトライトMEなどの照明器具もありますが、それでも光の強さは太陽の光が一番です。
曇り空でも室内と比べればかなり明るいですので、起きたら外に出るというのが睡眠においては当日の日中・そして夜の睡眠にとっても非常にたいせつなことです。
夜は照明を暗くすることで入眠をスムーズに
今度は反対に、夜は暗い環境を作る必要があります。
夜は日中よりも光の感度が増していますので、少しの光でも睡眠に影響します。
夜に強い光を浴びることで、先ほどの睡眠に関わるホルモンであるメラトニンの分泌が抑えられます。
これによってスムーズな入眠が妨げられて、睡眠の質も下がります。
夜の光は、月明りくらいの明るさであれば問題ありませんが、室内の照明は睡眠の妨げになることが多いです。
間接照明や明るさを調整できる照明などを利用すると、入眠の妨げにならなくなります。
また、夜の光で注意すべきはブルーライトです。
ブルーライトとは、スマホやパソコンなどの電子機器から発せられる光の種類です。
太陽光に近い光の種類で、メラトニンの分泌を阻害しやすい光です。
ブルーライトを完全に排除するには、パソコン・スマホ・テレビ・LED電球などをゼロにしなくてはなりません。
現実的には難しいと思いますので、できることとしてはブルーライトカットです。
このように、睡眠は光に依存しています。
睡眠の質を高め、入眠を早め、日中を活動的に過ごすには「日中明るく夜暗い環境」づくりが大切です。
まずは朝起きたら外へ出ること、そしてブルーライトカットの対策から始めてみてください!
睡眠障害対処12の指針⑥規則正しい3度の食事、規則的な運動習慣
睡眠障害対処12の指針6番目は「規則正しい3度の食事、規則的な運動習慣」です。
運動・栄養・休養は連動しますが、睡眠を改善する上でも運動・栄養は重要です。
睡眠に関わるホルモンであるメラトニンの原料は栄養によって取らなければなりません。
その栄養素は、トリプトファンと呼ばれる必須アミノ酸です。
必須アミノ酸とは体内で生成できない、食事から摂らなければならない栄養素です。
つまり、トリプトファンを摂らないとその他の睡眠改善のための工夫の成果はいまいちいなります。
また、運動をしなければ睡眠の質も悪く入眠も悪くなることがわかっています。
睡眠には食事のタイミングも大切です。
最近では3食摂ることが正しいかどうかは専門家によって見解が分かれていると思います。
1日2食、1日1食を推奨する人もいると思います。
個人的には体質によると思いますので、1日1食がいい人もいれば1日3食の方がいい人もいます。
私は1日3食では体重がどんどん落ちますので、1日4食、5食が必要です。
朝食もとるべきという人ととらないべきという人がいます。
ただ、睡眠の改善という県点では「朝食は摂るべき」と考えられます。
その理由は大きく2つあります。
1つ目は、朝食で体温を上げて活動しやすくするためです。
食事を摂ると、消化するために内臓系が働きますので体温が上昇します。
また、睡眠中にエネルギーが入ってこなかったので一時的な飢餓状態になっているからだを活動的な状態に変えることができます。
これは、グルカゴンというホルモンの働きによっておこります。
2つ目は、メラトニンの原料になるトリプトファンの摂取です。
メラトニンは必須アミノ酸であるトリプトファンを摂取し、それが違う物質に変化しながら最終的にメラトニンになります。
これには時間がかかりますので、朝食でトリプトファンを摂取することで夜に睡眠のホルモンであるメラトニンの分泌がしっかり行われて良質な睡眠をとれます。
トリプトファンが多い食品は、基本的にはタンパク質です。
肉や魚、卵、乳製品、大豆製品などに多く含まれます。
また、ご飯などの炭水化物にも含まれています。
朝食でご飯(炭水化物)と納豆(大豆製品)、焼き魚などがあればばっちりトリプトファンが摂取できていると言えます。
逆に朝食を抜いたり、野菜ジュースだけ、スムージーだけなどの場合はトリプトファンが不足している可能性が高いです。
睡眠と運動の関係とは?睡眠にいい運動とは?
睡眠は栄養だけでなく運動も密接にかかわります。
運動習慣と睡眠の関係は、様々な実験が行われています。
2000年にdriver&Taylorによる実験では、運動の睡眠に対する効果としてこのように結論付けられています。
運動習慣を持つ人…運動習慣を持たない人よりも深睡眠(深い睡眠)が多い。
運動を習慣づけると…入眠潜時が短縮し(寝つきがよくなり)、深睡眠が増加する。睡眠時間が延長する。
運動をすると…睡眠時間が約10分延長する。深睡眠が2~5分延長する。
第11回睡眠健康指導士上級テキストより抜粋
簡単に言えば、寝つきがよくなり睡眠の質が上がり、長い時間眠れるようになるということです。
代謝量が多いほど睡眠時間が延びると言われ、高齢者ほど睡眠時間は短くなります。
運動をすることで、この老化による睡眠時間の短縮を防ぐことができると考えられます。
ただ、運動の注意点としては午後から夕方の運動が推奨されます。
朝は体温が低く、運動の効率が悪いので怪我をしやすい状態です。
夜に激しい運動をすると、体温が上昇して寝つきがかえって悪くなります。
また、筋肉痛になるような激しい運動はかえって睡眠の質を悪化させます。
軽いジョギングやウォーキングなどの中強度の有酸素運動が推奨されています。
激しい筋トレや長時間の有酸素運動(マラソン)などは、かえって睡眠の質を悪化させます。
これは運動・栄養・休養すべてに当てはまりますが、不足はだめですが過剰もだめです。
このように、運動・栄養・休養はすべて連動しますので、睡眠の改善には運動・食事が大切です。
寝付けないのでアロマを焚いたり、枕を変えたりする前に運動や食事の見直しが必要という人も多いはずです。
これはできる範囲から始めることをお勧めします。
食事であれば、朝食を食べていない人はまずは少しでも朝食を食べること。
トリプトファンが全くない人はまずはヨーグルトだけ、納豆だけでもいいので食べる。
運動を全くしていない人はまずは10分ほどのウォーキングから始めるなどで十分です。
少しずつ日々の習慣を変えて、睡眠を改善していきましょう!
睡眠障害対処12の指針⑦昼寝をするなら15時前の20~30分
睡眠障害対処12の指針⑦は、「昼寝をするなら15時前の15~20分」です。
昼寝には様々な効果が期待でき、スペインではシエスタという昼寝の文化があります。
日本では仕事中などなかなか昼寝ができる場所がないと思いますし、昼寝ができる雰囲気でもない、昼寝をする時間がないという方も多いと思います。
ただ、昼寝の効果を知れば積極的に取り入れたほうが仕事の効率もアップしますので、企業にとっても昼寝の文化を作ることは有益です。
ただ、昼寝には注意が必要です。
昼寝のとり方を間違えれば、逆効果になり昼寝をしない方がまだましだったということにもなります。
例えば、アルツハイマー病と昼寝の効果を調べた実験では、昼寝をした方がアルツハイマー病になりにくいと結論付けられていますが、長時間の昼寝では昼寝をしないよりもかえってアルツハイマー病のリスクが上がると結論付けられています。
これは夜の睡眠時間でも同じですが、基本的に現代人では睡眠時間が短くなりやすい傾向にありますので、睡眠時間を極力伸ばした方がいいです。
ただ、過剰になれば逆効果ですので、効果的な昼寝のタイミングを知る必要があります。
その目安が、睡眠障害対処12の指針⑦で謳われている、「15時まで」「15分から20分」の2つのポイントです。
昼寝の効果とは?
昼寝の効果には、様々なものがあります。
代表的な昼寝の効果は、次のようなものです。
・午後の眠気や疲労の改善
・居眠り予防
・記憶力や認知作業の向上
・作業効率の向上
・運動技能の向上
これらは、そのまま睡眠の効果とも言えます。
睡眠の役割は簡単に言えば「脳と身体のメンテナンス」です。
夜の睡眠が定期メンテナンスとすると、昼寝は臨時メンテナンスくらいの位置づけです。
しっかりとしたメンテナンスではないので、それだけでは不十分ですが間にいれることでその後の作業効率の向上が見込めます。
特に、昼の2時から4時の間は眠気が増える時間帯と言われ、この時間は作業ミスや交通事故、医療ミスなどが増えると言われています。
その問題を、昼寝をとることで解消することもできます。
長時間労働が恒常化している人ほど、昼寝をした方が作業効率は上がって結果的に長時間労働の是正につながるとも言えます。
また、スポーツ選手など疲労の多い人にも昼寝は有効です。
クリスティアーノ・ロナウド選手やリオネル・メッシ選手も昼寝の時間が長いと言われ、長い間活躍するトップアスリートほど睡眠・昼寝を大事にしているのかもしれません。
昼寝のポイントは、睡眠障害対処12の指針⑦で謳われているように「15時まで」「15~20分」の2つです。
まず15時までですが、これは夜遅くなればなるほど夜の睡眠に影響するためです。
人間の脳は朝から少しずつ睡眠物質が溜まっていきますが、昼寝で少しクリアにします。
この少しのクリアが夜の睡眠に近ければ近いほど、夜の睡眠に影響が出て眠りにくくなります。
夜の睡眠に影響を出さないことが、昼寝のポイントの1つになります。
その基準が、15時とされています。
個人的には、夜の12時前後になるような人であればもっと遅くても問題はないと思います。
どちらかというと、高齢者向けの指標が15時と言えると思います。
20代~50代くらいで、寝る時間が夜の12時くらいであれば、16時くらいまで昼寝をしても問題はないと思います。
ただ、この基準は何時と言う時間よりも「夜の寝つきに影響しないか?」です。
16時で夜の寝つきが悪くなるならば15時まで、15時で夜の寝つきが悪くなるならば14時というように昼寝の時間を調整するのが理想です。
もう1つのポイントが、「15~20分」という時間です。
これも夜の睡眠に影響を及ぼさないというのがポイントです。
長時間の昼寝は、睡眠が深くなりすぐに起きるのが困難になります。
起きてもぼーっとする、頭がすっきりしないなどの問題が起こります。
そうは言っても、短すぎれば効果が低くなります。
つまり、「短すぎず長すぎない」昼寝時間がポイントです。
その基準が、15分~20分です。
これは「睡眠段階」という睡眠の状態を表す基準で言うと、睡眠段階1~2で止まる時間です。
簡単に言えば深すぎない睡眠です。
原理はややこしいですが、「15時まで」「15~20分」という2つのポイントを守っておけば、基本的には昼寝に問題はないと言えます。
睡眠障害対処12の指針⑧眠りが浅い時は、むしろ積極的に遅寝早起きに
睡眠障害対処12の指針8つ目は、「眠りが浅いときは、むしろ積極的に遅寝早起きに」です。
睡眠時間の重要性は説明するまでもありませんが、睡眠障害対処12の指針で睡眠時間を削るようなことを推奨しています。
ただ、これは常に遅寝早起きでいるべきというものではなく、睡眠障害の改善のための1つのステップとして、一時的に遅寝早起きにするという方法です。
特に不眠が続いて、睡眠に対してナーバスになっている人には有効な手法です。
不眠が続くと、少しでも睡眠時間を稼ごうとして早く布団に入りがちです。
ところが、それがかえって睡眠の質を悪化させてしまうということです。
この悪循環を断ち切る方法が、一時的な遅寝早起きです。
実は、普段の就寝時刻の2~4時間前くらいは入眠しにくい時間帯と言われています。
この時間帯は、体温が下がりきっておらず入眠困難な時間帯です。
「明日は朝が早いから早く寝よう」と思って早めに布団に入ったものの、なかなか寝付けないという経験をしたことがある人も多いと思います。
それは、早く寝なければというプレッシャーもあるかもしれませんが、単純に体温が下がらず眠りにくい時間帯だったという理由もあります。
人間の体温は日内で変動しており、体温が下がることで人は眠くなります。
体温の変化にはメラトニンという睡眠に関わるホルモンが影響しており、このメラトニンは朝起きてからの時間によって分泌が変わります。
そのため、夜に早く寝ようとしても朝の起床時間が変わっていなければなかなか寝付きにくいものです。
この時間帯にいつも通り簡単に寝られるという人は、メンタルが強いわけでもなんでもなく単に寝不足で睡眠負債が溜まっているだけの可能性が高いです。
実際にこの一時的に遅寝早起きにして睡眠リズムを改善する手法を、「刺激制御療法」と言います。
これは不眠が続いている中で、早く寝ようと眠くないのに布団に入るもののやはり眠れないという悪循環を断ち切るものです。
この状態が続くと、布団に入る=結局眠れないという条件付けがなされ、さらに眠れないという悪循環に陥ります。
この悪循環を断ち、布団に入る=寝るという条件付けに変えるために、眠くなるまで布団に入らないというものです。
不眠の人ほど、早く布団に入って布団の中で本を読んだりスマホを見たりと布団の中で長い時間を過ごしがちです。
これが不眠の負のサイクルに陥る原因です。
特にスマホはブルーライトの影響もあり、さらに不眠を招きます。
眠くなるまでは布団に入らず、部屋を暗くして軽いストレッチをしたり、本を読んだりリラックスして過ごし、眠たくなってから布団に入ります。
これが刺激制御療法による不眠の解消方法です。
そして、無理にでも早起きをして朝に強い光を浴びます。
朝に強い光を浴びてから14~16時間後に、メラトニンの分泌が最大になり眠りやすい状態になります。
こうなると、早寝が可能になります。
これが睡眠障害対処12の指針⑧の「眠りが浅いときは、むしろ積極的に遅寝早起きに」の意図です。
早起き早寝ができるようになれば睡眠時間を延ばし、睡眠時間をしっかり確保したうえでの早起きに移行していきます。
このように、睡眠リズムを整えるために一時的に行うのが遅寝早起きです。
あくまでも一時的な対処方法ですので、長期間続けるものではありません。
「早寝早起き」という言い方が定着しており、まずは早寝から行うべきと勘違いされやすいですが、睡眠に関わるホルモンのメラトニンの特性上それは難しいです。
まずは遅寝早起きにしてメラトニンが早く分泌するようにして、それから早寝をします。
もちろん睡眠不足はよくないですが、数日の睡眠不足はすぐに解消できます。
睡眠障害対処12の指針⑨睡眠中の激しいいびき・呼吸停止や足のびくつき・むずむず感は要注意
睡眠障害対処12の指針9個目は「睡眠中の激しいいびき・呼吸停止や足のびくつき・むずむず感は要注意」です。
睡眠中のいびき、呼吸停止、足のびくつき、足のむずむず感などは、全て睡眠の病気の可能性がある症状です。
これらは専門医の受診が必要です。
激しいいびきは多くの人が抱えており、そこまで重症なイメージはないと思います。
しかし、睡眠時無呼吸症候群の最初の症状はこのいびきです。
いびきがどんどん激しくなり、やがて呼吸停止を伴うようになります。
呼吸停止が続くと、睡眠の質が大幅に悪くなり日中の眠気が続きます。
その結果、交通事故などの重大事故に繋がる可能性があります。
また、足のびくつきや足のむずむず感は「むずむず脚症候群」「周期性四肢運動障害」などの可能性があります。
これらは不眠の結果起こる症状ではなく、1つの病気と考えられています。
布団に入った後にじっとしていると足がむずむずする、足が火照る、足に不快な感覚があるなどの症状があれば、一度病院の診察を受けたほうが安心です。
睡眠の病気は何科を受診?
睡眠の病気に関しては、病院で診察を受ける科目は「精神科」「心療内科」などです。
精神科と聞くと抵抗があるかもしれませんが、精神科の睡眠外来などは外科や内科と変わらないごく普通の病院です。
また、睡眠外来やスリープクリニックなどの名前で睡眠に特化した病院もあります。
最寄りでなくても、このような睡眠を専門に扱う病院であれば睡眠時無呼吸症候群やむずむず脚症候群などの診断・治療ができます。
睡眠障害の中でも特に有名な症状が、「睡眠時無呼吸症候群」だと思います。
睡眠時無呼吸症候群は、2003年に山陽新幹線の車掌が岡山駅でオーバーランを起こし、その原因が睡眠時無呼吸症候群であったことから有名になったと言われています。
その後、2005年にJR福知山線の脱線事故があり、これも車掌の睡眠時無呼吸症候群が原因の1つと言われています。
このような睡眠時無呼吸症候群による事故から、新幹線や高速バスなどの運転手の健康診断で睡眠時無呼吸症候群などの確認が義務付けられました。
ただ、このような大きな事故だけでなく普通の交通事故にも睡眠時無呼吸症候群が関わっている可能性が高いと考えられます。
睡眠時無呼吸症候群とは、別名SAS(サス)とも呼ばれます。
睡眠時無呼吸症候群の症状としては、睡眠中の呼吸停止があります。
これにより、睡眠の質が悪化します。
この結果、糖尿病や脳卒中、高血圧などの生活習慣病、朝の頭痛やうつ状態、夜間不整脈や逆流性食道炎などの症状が起こります。
さらに、睡眠の質が下がると日中の異常な眠気が続き、交通事故や産業事故、作業効率の低下、知力低下など睡眠時無呼吸症候群の影響は多岐に渡ります。
睡眠時無呼吸症候群の原因は気道が狭くなることによって起こります。
舌根沈下という舌が下がる症状、肥満による気道の狭さ、鼻骨骨折などによる鼻の問題などいろいろな要因があります。
また、気道の狭さは人によるので、肥満と呼べないレベルでも以前より太った結果睡眠時無呼吸症候群を引き起こす可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群のための治療方法がありますので、心当たりのある場合はすぐに専門医の受診をしてください。
睡眠時無呼吸症候群の解説はこちら
また、自分が寝ている間の症状は自分では気が付かないものです。
家族と生活していれば、いびきや足のびくつきなどの症状に誰かが気付いてくれるかもしれません。
そのような指摘を受けたら、大人しく専門医を受診しましょう。
一人暮らしの場合も、実家に帰った際や友人と旅行に行った際などに、聞いてみるといいかもしれません。
最近では、寝言を録音するアプリなどもありますので、こういったものを活用してもいいでしょう。
睡眠の病気は気が付きにくいですが、気づいた時には重大事故という可能性もあります。
不調を感じたら、ぜひ専門医を受診してみてください!
睡眠障害対処12の指針⑩十分眠っても日中の眠気が強い時は専門医に
睡眠障害対処12の指針⑩は、「十分眠っても日中の眠気が強い時は専門医に」です。
いびきや呼吸停止などの症状も専門医の受診が必要ですが、ただの眠気でも強かったり長く続いたりすれば専門医の受診が必要になります。
眠気は誰もが感じるものです。
ただ、日中に眠気が強くて耐え切れないようなほど強い場合や、毎日毎日居眠りしそうなほどの眠気を感じているのであれば、睡眠障害の疑いがあります。
ただ、多くの日本人は睡眠不足です。
厚生労働省の調査によると日本人の平均睡眠時間は年々減っており、必要な睡眠時間を割っている人が半分近いと推測できます。
個人的な感覚では、半分を超えているのではないかと思います。
そのため、かなり多くの人が当てはまりそうな症状ではあります。
何をもって「強い眠気」と言うかは難しいですが、「眠ってはいけないタイミングで我慢できないくらいの眠気に襲われることがある」という場合は要注意です。
日中の強い眠気を伴う症状として、代表的な睡眠障害が先ほどの睡眠障害対処12の指針⑨でもあった睡眠時無呼吸症候群です。
睡眠時無呼吸症候群の症状は寝ているときの激しいいびきや呼吸停止で、自分では気づいていないことも多いです。
自分で気が付ける症状が「日中の眠気」ですので、日中の眠気で悩まされている場合は専門医の受診が必要です。
気合やカフェインの摂取でどうにかならないような眠気は、睡眠障害の可能性がある強い眠気と考えていいでしょう。
日中の強い眠気を感じたら専門医の受診が必要と言われても、何科を受診すればいのかわからないという方も多いと思います。
睡眠専門の病院もありますが、基本的には睡眠障害は精神科・心療内科の症状になります。
精神科や心療内科と聞くと抵抗がある方もいるかもしれませんが、至って普通の病院です。
病院の数も少ないわけではありませんので、近場で調べてもらえばすぐに見つかると思います。
また、スリープクリニックや睡眠外来と打ち出しているところもありますので、そちらの方がより専門的に見てくれる病院と言えます。
日中の強い眠気は、風邪や骨折と同じような病気・怪我の類です。
普通の眠気は誰しもが経験しますが、耐えられないような眠気を感じた場合は何らかの睡眠障害の可能性があります。
気合が足りないと無理をしていると、大きな事故に繋がる可能性もあります。
命に関わると言えますし、周りを巻込む可能性もあります。
そのような事故に繋がる前に、ぜひ専門医の受診を検討してみてください。
睡眠障害対処12の指針⑪睡眠薬代わりの寝酒は不眠のもと
睡眠障害対処12の指針11個目は「睡眠薬代わりの寝酒は不眠のもと」です。
寝つきが悪いときに寝酒をするという人は、昔はかなり多かったのではないでしょうか。
現在でも多いと思いますが、身体に悪そうなイメージはあると思います。
実際にそのイメージどおりで、寝酒は睡眠の質を下げてしまいます。
睡眠の質が悪ければ、眠気がとれずに疲れもとれません。
その結果日中の活動が低下し、翌日の夜の寝つきも悪くなり再び寝酒という悪循環に陥ります。
アルコールは摂取量や個人差もありますが、摂取後3~4時間は体内に残ります。
その間は脳の活動が低下して眠りやすい状態になります。
しかし、3~4時間では当然睡眠時間は足りずに中途覚醒が起こります。
これは自分では気が付いていないことも多いですが、特に酔っ払って寝ていればなおさら覚えていないです。
自分では気が付かない間に途中で起きて、睡眠の質は大きく低下しているということです。
こうなると、睡眠時間は増えても睡眠の役割は果たせていない状態になるので身体も脳も回復しません。
寝不足で起こるような様々な問題が起こりますので、寝つきがよくなっただけで睡眠に関する問題は全く解決していないと言えます。
ただ、寝酒をする人の言い分として「睡眠薬よりも酒の方が安全」というものがあります。
いつも飲んでいるお酒と、使ったこともない睡眠薬では確かにお酒の方が安心かもしれません。
ただ、実際には睡眠薬の方がお酒よりも安全と考えられます。
睡眠薬は2時間ドラマや探偵ものの漫画、映画などでよく殺人事件で使われるイメージがあるので、危険な印象があると思います。
実際に現在処方箋で出されている睡眠薬(睡眠導入剤)では、命に関わるような副作用は用法用量を大幅に超えても起こらないと考えられています。
実際に私も用法用量を超えて服用したこともありますが、特に何も起こりませんでした。
精神科医の方に話を伺ったときにも、「一万錠くらい飲んだらわからないけど、それだけ飲んだら薬の影響の前に水飲みすぎで違う問題が起こりそう」とのことでした。
実際に起こる事故としてはアルコールの過剰摂取の方が多いです。
もちろん、睡眠薬を服用して車の運転などをすれば事故の可能性が大きく危険です。
睡眠薬の副作用を考えても、急性アルコール中毒やアルコール依存症などの危険性の方が圧倒的に危険です。
そのため、「睡眠薬よりも寝酒の方が安全」とは考えにくく、副作用、睡眠の質、継続的な服用によるリスクなどを考えても睡眠薬の方が安全で効果的と言えそうです。
ただ、睡眠薬の睡眠よりも何も服用しない通常の睡眠の方が当然安全で効果的です。
なんでも睡眠薬を飲めばOKということもなく、睡眠薬の服用をする場合もその他の睡眠障害対処12の指針でご紹介しているような日常生活の改善と合わせなければ根本的な解決にはなりません。
日常生活の改善で睡眠の改善を行い、それでも解決しない場合は睡眠導入剤の使用もサポート的に使うというのが正しい方法と言えます。
完全に禁酒というのは難しいですが、少なくとも「寝る目的での飲酒」は避けるべきです。
どうしても眠れない場合は睡眠導入剤の服用を検討し、並行して日常生活の改善を行い根本的な睡眠の改善を行う。
このような流れが理想です。
睡眠薬の服用も医師の診断が必要になりますので、なかなか寝付けない、現在は寝酒をしないと眠れないという場合は一度専門医の受診をお勧めします。
いびきや呼吸停止などの症状がある場合も専門医の受診が必要ですが、寝つきが悪すぎる場合も専門医の受診が必要になります。
睡眠障害対処12の指針⑫睡眠薬は医師の指示で正しく使えば安全
睡眠障害対処12の指針12個目は「睡眠薬は医師の指示で正しく使えば安全」です。
睡眠障害で特にイメージしやすいものが、「なかなか寝付けない」「夜眠れない」という不眠だと思います。
こちらは睡眠障害対処12の指針⑪の通りですが、寝酒は睡眠の質を悪化させますのでおすすめできません。
睡眠薬が危険と言われる要因に、「睡眠薬はボケる」という噂があります。
脳を眠りに向かわせる薬と考えれば、なんとなくボケそうなイメージもわかります。
ただ、睡眠薬とアルツハイマー病の関係は、特に報告がありません。
むしろ、不眠とアルツハイマー病の関係の方が指摘されています。
特に昼寝とアルツハイマー病の関係は指摘が多く、しっかりと昼寝をすることでアルツハイマー病が減るというデータがあります。
ただし、過度な昼寝はアルツハイマー病のリスクを上げるので注意が必要です。
つまり、睡眠薬を飲むとボケるというよりも睡眠が不十分の方がボケると言えます。
睡眠の役割を考えればこれは納得で、睡眠の役割に脳のメンテナンスがあります。
脳内の疲労物質やストレス物質の除去を行います。
このメンテナンス不足の脳とメンテナンスが十分の脳で、どちらがボケそうかを考えれば明らかです。
睡眠薬はボケるという噂を信じて睡眠薬を使わずに睡眠が不足するよりは、睡眠薬を服用してしっかり寝た方がボケにくいと言えます。
ただ、あくまでも睡眠薬はサポートです。
睡眠薬を使わずに自然と眠る方が睡眠の質は高いですので、睡眠薬を使いつつ徐々に自力で眠れるように睡眠の改善を行います。
睡眠障害対処12の指針12で言うように、睡眠薬は医師の指示のもと使えば安全です。
ただ、劇的な変化をもたらすとも考えにくいです。
あくまでも睡眠薬は補助で、日常生活の改善による睡眠の改善も必要です。
睡眠薬の服用はまずは医師の診察が必要になります。
「なかなか寝付けない」「寝つきが悪い」というだけで病院に行くのもどうなのか?と思われる方もいるかもしれません。
ただ、これらはれっきとした睡眠障害の初期症状です。
がんばって寝ようとして寝られるものでもありません。
朝に光を浴びるなどの日常生活の改善も必要ですが、なかなか改善しない場合はぜひ一度専門医の受診をお勧めします。
睡眠の専門医は、科目としては精神科、心療内科になります。
その他、スリープクリニック・睡眠外来など睡眠を専門とする病院もありますので、ぜひ一度調べて受診してみるとよいと思います。
睡眠障害の種類とは?
睡眠障害には種類があります。
その1つ1つに細かく対応するには、まずは睡眠障害の種類を知らなければなりません。
睡眠障害対処12の指針でご紹介しているものは、あくまでも睡眠の改善全般、睡眠障害の改善全般の話です。
細かな睡眠障害への対処は専門医へ相談という形になっています。
専門医へ相談というのは間違いないですが、その前に少しでも情報を知れた方が安心だと思います。
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