睡眠の役割とは?何のために睡眠をとるのか?

睡眠は日々の忙しさからついつい軽視されがちです。

特に今の忙しい日本では、寝不足の人の割合は上がる一方です。

 

もちろん、多少の睡眠不足でいきなり甚大な影響はありません。

しかし、睡眠不足の悪影響を知った上で睡眠不足を続けている人がどれくらいいるのでしょうか?

 

多くの人は、睡眠不足を甘く見た睡眠不足だと思います。

それは、睡眠の役割を知らないから起こることだと思います。

 

こちらでは、睡眠の役割を解説していきます。

睡眠の役割を知り、「やばい!ちゃんと寝ないと!」と思う人が少しでも増えてくれれば嬉しいです!

 

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睡眠の役割とは?

睡眠時間は無駄な時間、怠惰な時間と考えている人も多いと思います。

「寝る間を惜しんで」

「寝食を忘れて」

などという言葉があるように、睡眠時間を削って仕事や勉強に打ち込むことを美とする風習があるように感じます。

 

これは大前提として、「睡眠は怠惰なものであってそれを削っているから頑張っている」という図式があるからこそ成り立つものだと思います。

 

では本当に睡眠=怠惰なものなのでしょうか?

そもそも、そんな必要のないものならば、人生の1/3ともいう時間をかけて、しかも無防備な状態の睡眠が進化の過程でなぜ削られなかったのでしょうか?

 

これらは睡眠の役割を理解すれば、説明がつきます。

 

睡眠の役割を、私は大きく3つに分けて考えています。

 

睡眠の役割①脳を創る・育てる

睡眠の役割②脳を守る・修復する

睡眠の役割③脳をよりよく活動させる

 

1つずつ見ていきましょう。

 

睡眠の役割①脳を創る・育てる

睡眠の役割の1つ目は、脳を創る・育てるです。

 

これは、主に赤ちゃんの睡眠の話です。

赤ちゃんは生まれたときはまだ歩けず、未発達な状態で生まれてきます。

そして、生後に身体の機能を次々獲得していって発達していきます。

脳も同じで、生まれた時点では未熟な状態です。

 

生まれてから、泣く・哺乳などの動作を通して味わう・聞くなどの感覚が発達していきます。

この時に、神経回路が発達していきますが、神経回路の発達などは睡眠の中でもレム睡眠中に行われます。

これは赤ちゃんの話ですので、成人に関係するのは後の2つです。

 

睡眠の役割②脳を守る・修復する

睡眠の役割で重要なのが、この脳を守る・修復するという役割です。

一言でいえば、脳のメンテナンスです。

 

脳は覚醒中(起きている時間)に様々な活動をしています。

その活動中に、疲労物質やストレス物質などが出てきます。

その疲労物質やストレス物質を除去するのが、この睡眠中です。

 

睡眠中も脳は覚醒時の80%程度で活動していますので、完全に休んでいるわけではありません。

覚醒中にはできないことをしているので、かなり働いています。

 

覚醒中にできないことが、この疲労物質の除去などです。

睡眠を削ると、脳内にこの疲労物質やストレス物質が溜まっていきます。

 

これを睡眠負債といい、睡眠負債は脳に深刻なダメージを与えるとも言われています。

 

睡眠の役割③脳をよりよく活動させる

睡眠の役割としてあまり認識されていないのが、脳をよりよく活動させるという役割です。

一言でいえば、記憶の整理です。

 

睡眠中に記憶を整理することで、記憶が定着します。

逆に言えば、睡眠不足で記憶の定着は上手くいかなくなります。

 

記憶については大きく2種類に分けられます。

1つは「宣言的記憶」で、一般的なイメージの記憶です。

宣言的記憶は、言語化できる記憶と定義できます。

 

例えば、英単語や漢字・文章や人の名前などはすべて宣言的記憶になります。

そのため、学力に直結する記憶ですので宣言的記憶の整理がうまくいかない=学力低下という問題になります。

 

実際に学力と睡眠の相関関係は、様々なデータで紹介されています。

これは国を問わず、中国でもカナダでも日本でも同じように睡眠の質や量の低下が学力低下を招くことが報告されています。

 

記憶の2つ目は、手続き的記憶です。

手続き的記憶とは、簡単に言えば身体のコントロールの記憶です。

 

具体的にはスポーツ動作全般、はさみや箸などのものの使い方、タイピングや歩き方など自分の身体の動かし方全般を指します。

 

つまり、スポーツにおいても睡眠不足でスポーツパフォーマンスが低下すると言えます。

サッカー選手のクリスティアーノ・ロナウド選手やリオネル・メッシ選手は長時間眠ることで有名です。

 

スポーツに限らず、仕事のパフォーマンスも睡眠不足で起こります。

 

睡眠不足の影響

睡眠不足の影響は、先ほどの睡眠の役割が十分に果たせなくなることです。

つまり、脳のメンテナンスが不十分になり、脳の働きも悪くなります。

 

その結果、判断力の低下や集中力の低下、記憶力の低下などの問題が起こります。

 

仕事でミスが続き、イライラして人間関係も不調、趣味のスポーツもうまくいかないなどの悪循環が続きます。

 

脳のメンテナンスが上手くいかないので、あらゆる影響が睡眠不足で起こります。

睡眠不足の影響の解説はこちらから

 

少しくらい寝なくても大丈夫?睡眠不足を補う方法

いくら睡眠が重要と言って、実際少しくらい寝なくても余裕という人も多いと思います。

 

睡眠は重要ですが、少しくらい削っただけで甚大な被害が出ていたら生活できません。

少しの睡眠不足は、すぐに返せるような機能があります。

 

この睡眠不足のことを睡眠負債と呼んでいます。

 

睡眠負債は少しであればすぐに返すことができますが、長期間の睡眠不足でどんな影響が出るかはわかりません。

 

寝不足を一気に解消する方法や、短時間睡眠でも大丈夫になる方法はありません。

それは睡眠の役割を考えればわかることで、メンテナンスをさぼれば機能が落ちるのは何であっても共通です。

 

裏技的な睡眠方法はありませんので、日々の睡眠を最適な睡眠に近づけることが、遠回りのようで最も的確な方法です。

 

この記事を書いた人
中谷圭太郎

睡眠健康指導士上級、睡眠検定2級。
自分の睡眠障害を対処しつつ、睡眠情報を発信中。

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