睡眠に関する情報は、有名で正しそうな情報でも実際は嘘というものがあります。
その代表格とも言えるものが、「睡眠のゴールデンタイム」です。
「睡眠のゴールデンタイムは夜10時(22時)~2時なので、この時間は寝るようにしましょう」ということがよく言われます。
しかし、これは嘘と考えられています。
個人的にも、この夜10時~2時がゴールデンタイムという認識は誤りと感じています。
ただ、誤りですが信じておいて夜10時から2時は極力寝ておいた方がいいとも思います。
そんな睡眠のゴールデンタイムについて解説します。
「睡眠のゴールデンタイムは夜10時~2時」は嘘!
睡眠のゴールデンタイムは夜10時から2時という定説がありますが、これは嘘だと考えられています。
では、なぜこんな嘘が常識であるかのように広まっているのでしょうか?
これは、日本人の睡眠時間の推移と睡眠段階で説明がつきます。
まず、睡眠のゴールデンタイムとは何かということですが、成長ホルモンの分泌が多い時間を指してゴールデンタイムと言っています。
成長ホルモンとは、たんぱく質の合成を促すホルモンです。
筋肉をつける、お肌の再生などに重要な働きをします。
その為、この睡眠のゴールデンタイムは「お肌のゴールデンタイム」と呼ばれることもあります。
美容の為にもお肌のゴールデンタイムはしっかり寝ましょう!ということが言われますが、これも同じく嘘と考えられます。
睡眠の本当のゴールデンタイムとは?
結論から言えば、睡眠の本当のゴールデンタイムは「睡眠の最初の4時間程度」です。
この時間帯が、成長ホルモンの分泌が多い睡眠と言われています。
専門用語では、「深睡眠」「徐波睡眠」と呼ばれます。
このような睡眠の段階は、「睡眠段階」と呼ばれる表で表されます。
最初のだけ成長ホルモンの分泌が非常に多いですので、この段階が徐波睡眠、つまり睡眠のゴールデンタイムです。
つまり、夜の10時に寝ればゴールデンタイムは夜10時から2時です。
夜の0時に寝ればゴールデンタイムは0時から4時です。
ではなぜ夜の10時から2時がゴールデンタイムといわれるようになったかというと、昔は多くの日本人が夜の10時には寝ていたからだと思います。
日本人の睡眠時間の推移をみると、夜10時までに寝ている人の割合は50年で70%から24%まで減少しています。
これは2010年のデータですので、さらに悪化している可能性が非常に高いです。
つまり、多くの日本人が夜の10時に寝ていた時代であれば「10時から2時がゴールデンタイム」という認識でほぼ間違いありませんでした。
ところが睡眠時間が短くなり、夜遅くまで起きている人が増えた今ではこの認識は誤りと言えそうです。
それでもこの嘘は信じたほうがいい嘘だと言えます。
嘘でも信じた方がいい睡眠のゴールデンタイム
睡眠のゴールデンタイムは夜の10時から2時というのは嘘ですので、夜の1時に寝たからゴールデンタイムが1時間しかないということはありません。
ところが、このゴールデンタイムにまつわる嘘は信じておいたほうがいいとも言えます。
先ほどもご紹介しましたが、日本人の睡眠時間はどんどん削られています。
睡眠時間が短くても大丈夫になったわけではなく、単に睡眠不足の人が増えているだけです。
睡眠不足の影響は脳や身体に起こり、健康や仕事・スポーツのパフォーマンスに大きな影響を与えます。
最適な睡眠時間は人によって異なり、また年齢によっても変化していきます。
ただ、20代から50代くらいであれば平均睡眠時間が7から8時間必要な人がほとんどだと考えられます。
少なくとも、6時間睡眠で問題ないという人は非常に少ないと思います。
仮に8時間睡眠が必要だとすると、7時に起きるなら夜の11時に寝る必要があります。
朝6時に起きるなら夜は10時に寝ます。
しかし、実際に仕事をしながらこのような睡眠リズムの人はほとんどいないと思います。
夜の10時に寝ると聞いたらかなり早いなと感じる人の方が多いはずです。
このように仕事や学校で起きる時間が決められている場合は、必然的に寝る時間を早くしないと睡眠不足になります。
そのため、「夜の10時には寝たほうがいい」という「夜の10時から2時がゴールデンタイム」という嘘はある意味信じておいた方が睡眠時間の確保という意味では正解かもしれません。
忙しい現代では、睡眠時間が削られがちです。
その睡眠不足の影響は文字通り心を亡くすような影響です。
ゴールデンタイムにまつわる嘘を信じて少しでも早く寝ることが、健康でパフォーマンスの高い生活を送れることに繋がると言えそうです。
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