ウルトラディアンリズムとは?睡眠にも影響する生体リズム

睡眠には人間の生活リズムが大きく関わります。

生活リズムだけでなく、生体リズムという体温などの変動も大きく関わります。

 

その生体リズムは周期によって分類されます。

主に睡眠で注視されるのは概日リズムという1日周期の生体リズムです。

 

ただ、それだけでは説明がつかないことも多くあり、もっと細かい生体リズム・もっと長い生体リズムも睡眠を理解する上では欠かせません。

 

概日リズムよりも細かい生体リズムの1つに「ウルトラディアンリズム」があります。

こちらでは、ウルトラディアンリズムについて解説していきます。

 

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生体リズムとは?生体リズムの種類

生体リズムとは、一定リズムで変化する人間の体温・ホルモン分泌などの変化のことです。

体温は日内変動があり、朝起きた時に低く徐々に上がっていきます。

夕方から夜にピークを迎え、眠る時間が近くなるにつれて体温が下がっていきます。

 

ホルモン分泌も日内変動があり、睡眠を司るメラトニンは朝に分泌が弱まり眠る頃に最大になります。

コルチゾールという覚醒に関わるホルモンは、朝起きる時が最大となり寝る時は最小となります。

 

このような生体リズムは、環境条件を1日中一定に保っても起こるものです。

地球の自転や公転などに合わせて人間が環境に適応してきた名残ではないかと思います。

 

生体リズムにはいろいろな種類があり、リズムの長さで分類されます。

主な生体リズムの種類は次のようなものがあります。

 

24時間よりも長い生体リズム

・サーカセプタンリズム(一週間周期の生体リズム)

・概月リズム(1か月周期の生体リズム)

・概年リズム(1年周期の生体リズムの)

 

24時間の生体リズム

・概日リズム

 

24時間未満の生体リズム

・ウルトラディアンリズム(20時間未満周期の生体リズム)

・サーカセミディアンリズム(半日周期の生体リズム)

 

つまり、ウルトラディアンリズムは生体リズムの一種で20時間未満の生体リズムのことを言います。

その為、やや広い概念の言葉と言えます。

 

ウルトラディアンリズムとは?

ウルトラディアンリズムとは、20時間未満の生体リズムのことを言います。

ウルトラディアンリズムには、このようなものがあります。

 

・睡眠周期(80分~100分)

・サーカセミディアンリズム(半日周期の生体リズム)

 

「ウルトラディアンリズムは90分の生体リズムのことを言う」と言われる場合もありますが、これは間違ってはいませんがもっと長い時間も含めてウルトラディアンリズムと言います。

特に集中力がどれだけ持続するかという話で、ウルトラディアンリズムは90分と言われるようです。

 

また呼吸や心拍などのかなり短い周期のものもウルトラディアンリズムの一種です。

 

ウルトラディアンリズムと睡眠の関係

ではそのウルトラディアンリズムが睡眠にどのように関わるのでしょうか?

睡眠で特に注目されるのは、ウルトラディアンリズムよりも概日リズムです。

 

概日リズムは英語でサーカディアンリズムと言います。

 

この概日リズムが睡眠において重要な理由は、成人の睡眠は単層性睡眠という1日に1回長い睡眠をとるのが基本だからです。

 

赤ちゃんの頃は多層性睡眠という1日に何回も眠る睡眠をとることが多いですが、加齢とともに少しずつ単層性に変化していきます。

その赤ちゃんの頃の名残なのか、ウルトラディアンリズムも睡眠に多く関わります。

 

睡眠に関わるウルトラディアンリズムとしては、次の3つがあります。

 

・午後の眠気

・睡眠周期

・集中力の維持

 

午後の眠気とサーカセミディアンリズム

昼休み後の仕事や授業で眠気を感じたという経験は、誰もが持っていると思います。

 

その原因は、「お昼ご飯を食べて血糖値が上がったから」と言われることが多いと思います。

その影響も考えられますが、実はお昼ご飯を食べなくてもこの眠気はやってくると言われています。

 

その原因は実はよくわかっていませんが、どの地域でも起こるものです。

スペインでは「シエスタ」という昼寝習慣があり、この昼の眠気の対策がなされています。

 

日本では寝る=怠けているという誤った認識が強く、なかなか仕事中に昼寝をとれない文化が根強いと思います。

 

しかし、この昼の眠気と戦っても効率が悪くミスや事故も増えます。

交通事故などもこの午後の時間に多く発生すると言われています。

 

これはサーカセミディアンリズム(半日周期の生体リズム)が影響していると言われています。

眠気を調査すると、午後の2時から4時、午前の2時から4時にピークが来ると言われています。

当然個人差がありますが、夜以外にも昼にも眠気がやってくることは対策が必要です。

 

その対策は、昼寝です。

 

ウルトラディアンリズムの1つ「睡眠周期」

ウルトラディアンリズムの1つに睡眠周期があります。

睡眠周期は、90分サイクルでレム睡眠とノンレム睡眠が訪れると言われています。

ただ、これは嘘と考えられます。

 

90分の倍数で寝ると良いというのはこの睡眠周期90分説がもとになっていますが、多くの睡眠周期は80分~100分と個人差があります。

 

4周期繰り返せば、5分のずれでも20分ずれますので90分の倍数に合わせる意味は全くありません。

 

詳しくは、睡眠は90分の倍数がいいは嘘?で解説しています。

 

集中力の維持に関わる「覚醒レベルのウルトラディアンリズム」

人間の集中力は30分しか持たない、それとも15分、2時間など様々な説があります。

これもウルトラディアンリズムの一つです。

 

睡眠検定ハンドブックによると、1日中同じ環境下で脳波を調べると2~3時間周期で覚醒レベルが変動するとしています。

これが集中力の限界の生体リズムではないかと思われます。

 

ただ、この2~3時間というのはかなりばらつきがあります。

退屈な作業を繰り返すと眠気がすぐに出ますが、興奮して集中していると眠気は出にくくなります。

 

これは「好きこそものの上手なれ」「好きなことを仕事にすればパフォーマンスが高い」など感覚的に言われていることの裏付けとなると思います。

 

そのため、集中力が15分で切れるも2時間で切れるも正解と言えば正解です。

 

ただ多くの日本人は寝不足で睡眠負債が貯まっています。

その場合、興味があるようなことでも眠気が出現しやすいと思いますが、これは興味の問題よりも睡眠負債の問題の方が強いと思います。

 

睡眠負債を取り除き、集中して仕事や勉強に取り組むことが高い成果につながります。

 

この記事を書いた人
中谷圭太郎

睡眠健康指導士上級、睡眠検定2級。
自分の睡眠障害を対処しつつ、睡眠情報を発信中。

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