睡眠を考える上で、体内で起こる日内変動は欠かせません。
このような日内変動をサーカディアンリズム(概日リズム)と言います。
サーカディアンリズムが乱れれば睡眠にも問題が起こり、睡眠時間をコントロールできなくなります。
いわば睡眠の司令塔とも言えるサーカディアンリズムについて解説していきます。
サーカディアンリズム(概日リズム)とは?
サーカディアンリズムとは、体内で起こる日内変動です。
体温などが1日の中で変化することを指します。
このような変動のことを生体リズムと言いますが、生体リズムは長さによって大きく3つに分けられます。
およそ24時間を周期とする生体リズムをサーカディアンリズム(概日リズム)と言い、一週間以上の生体リズムをインフラディアンリズムと言います。
インフラディアンリズムには、1週間のリズムであるサーカセプタンリズム、1か月のリズムである概月リズム、1年のリズムである概年リズムがあります。
また、20時間以下の周期リズムをウルトラディアンリズムと言います。
ウルトラディアンリズムの中には、半日周期のサーカセミディアンリズムがあります。
このように色々な生体リズムがありますが、主に重視されるのがサーカディアンリズム(概日リズム)です。
ウィキペディアでは、サーカディアンリズムについてこのように記されています。
生物は地球の自転による24時間周期の昼夜変化に同調して、ほぼ1日の周期で体内環境を積極的に変化させる機能を持っています。人間においても体温やホルモン分泌などからだの基本的な機能は約24時間のリズムを示すことがわかっています。この約24時間周期のリズムは概日リズム(サーカディアンリズム)と呼ばれます。
体内時計|e-ヘルスネット(厚生労働省)
体内時計概日リズム(サーカディアンリズム)を形成するための24時間周期のリズム信号を発振する機構。生物時計とも呼ばれる。脳内の視床下部の視交叉上核に存在する。
睡眠時には特に体温の変動が重要です。
日中に高い状態を保たれている体温は、夜の7時~8時ごろに最大になります。
その後徐々に下がっていき、深夜の4時~5時頃に最低になります。
活動している時間では体温が高く、寝るときは体温が低いと言えます。
この体温変動に逆らってお風呂に入って体温を上げると、睡眠の妨げになります。
サーカディアンリズムは25時間?24時間?
サーカディアンリズムは一般的に25時間周期と言われています。
1日は24時間ですので、サーカディアンリズムの方が1時間長いと考えられています。
このため、睡眠リズムは徐々に遅れて夜型になりやすいと言われています。
これは1970年代にドイツのマックスプランク研究所というところで行われた研究によるものです。
このマックスプランク研究所の研究によれば、147名の被験者のサーカディアンリズムの平均が25時間周期だったとのことです。
しかし、サーカディアンリズムは光によって影響を受けます。
これは朝起きて光を浴びることで体内時計をリセットして、その後暗くなると眠気が強くなり体温も下がるというサーカディアンリズムの調整によって起こります。
その影響を考え、豆電球程度の暗い環境でサーカディアンリズムを計測すると、平均24.26時間とするものもありました。
サーカディアンリズムはもっと短く限りなく24時間という報告もあり、結局のところよくわかりません。
ただし、それらの結果を総合すると24時間よりは長いものの25時間ほどではなく、24時間に近い時間であることが推測できます。
ただ、重要なことは24.5時間なのか25時間なのかではありません。
光によってサーカディアンリズムをコントロールしているということです。
そのため、光の使い方を誤れば睡眠リズムが乱れて睡眠障害になってしまいます。
サーカディアンリズムが乱れると概日リズム障害?
サーカディアンリズムが乱れ、睡眠リズムが乱れてしまう睡眠障害を概日リズム障害と言います。
先ほどのサーカディアンリズムが24時間を超えていることからもわかるように、概日リズム障害は睡眠時間が後ろにずれやすい特徴があります。
サーカディアンリズムが乱れ、睡眠時間が後ろにずれて戻せなくなってしまう睡眠障害を睡眠相後退症候群といいます。
これらの睡眠障害は、一言で言えばサーカディアンリズムが乱れていると言えます。
概日リズム障害の改善には、光を利用したサーカディアンリズムの改善が必須です。
朝に強い光を浴びるというのが基本ですが、これは睡眠障害対処12の指針⑤でも示されています。
また、光目覚まし時計と呼ばれるものもあり、光療法による睡眠障害の改善も行われています。
24時間社会、長時間労働、パソコンやスマホの普及など、サーカディアンリズムは乱れやすい環境にあります。
それはサーカディアンリズムが乱れ、睡眠障害を起こしやすい環境とも言えます。
光をうまく利用して、サーカディアンリズムをコントロールすることが睡眠の改善に求められます。
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