宣言的記憶とは?記憶の種類と睡眠の関係

睡眠の役割の1つに記憶の整理があります。

日中の記憶を脳の中で整理することになりますので、記憶力と睡眠には関係があります。

 

記憶には種類がありますが、大きく宣言的記憶と手続き的記憶に分類されます。

 

こちらでは宣言的記憶について解説していきます。

 

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宣言的記憶とは?

宣言的記憶とは、記憶の種類の1つです。

記憶の種類は大きく2つに分けられます。

 

それが「宣言的記憶」と「手続き的記憶」です。

 

宣言的記憶とは、ひとことで言えば「言葉で表すことができる記憶」です。

英単語や文章、セリフなどがわかりやすい宣言的記憶ですが、そのほかストーリーも宣言的記憶になります。

 

宣言的記憶はさらに大きく2つに分類できます。

1つ目が英単語や文章、セリフなどの「意味記憶」です。

辞典や辞書などに書かれているような内容の記憶と言う方がわかりやすいかもしれません。

 

2つ目が「エピソード記憶」です。

これも言葉で表すことができる記憶ですが、先ほどの意味記憶よりは長い記憶です。

エピソード記憶は、「昨日友達と飲みに行って焼き鳥を食べながら○○の話をした」といった内容の記憶です。

意味記憶のように辞典や辞書のような記憶ではありませんが、これも文章で表すことができる記憶です。

 

これらの意味記憶・エピソード記憶を合わせて宣言的記憶と言います。

反対に手続き的記憶は、身体の動かし方などの記憶です。

自転車の乗り方、歩き方、バッティングフォーム、タイピングなど身体の操作方法に関する記憶です。

これはスポーツ選手には特に重要な記憶になります。

 

宣言的記憶=学力?

宣言的記憶は大きく意味記憶とエピソード記憶がありますが、この宣言的記憶ができるがどうかは学力に直結します。

いい勉強法かは置いておいて、意味記憶がしっかりできていれば学校の成績はある程度とれると思います。

英単語、熟語、歴史上の人物などの意味記憶がしっかりできるだけでテストの点数が上がります。

 

宣言的記憶も睡眠中に整理されますので、睡眠時間は学力に直結すると言えます。

実際に沖縄県では子供の睡眠時間が短く、学力も低いとされています。

 

最近では子供の睡眠不足も問題になっていますが、同時にそれは学力低下をも招きます。

しかし、学力低下に対して夜遅くまで塾で勉強という対策をとれば、記憶力という点においては逆効果です。

 

ただ、記憶力が悪いと言っても全く勉強をしないよりは睡眠時間を削ってでも勉強した方が効果はあります。

テスト前日に一夜漬けで勉強してそれなりに点数をとれた経験を持っている人は多いと思います。

 

この場合の記憶力が悪いというのは、「同じ勉強をした場合に睡眠時間が長い方と短い方のどちらの点数が高いか?」という比較です。

睡眠時間9時間であまり勉強していないA君と、睡眠時間6時間で遅くまで塾で勉強しているB君の比較ではありません。

 

その為、睡眠時間を削る=成績が一気に低下とはならないので、この記憶に関する問題がはっきりしないと言えます。

ただ、記憶力低下以外にも睡眠不足は脳に問題を起こしますので、子供に睡眠時間を削って勉強することは全くすすめられません。

 

睡眠不足の影響とは?

 

宣言的記憶の整理はノンレム睡眠中に行われる

宣言的記憶の整理は、睡眠中すべてで行われているわけではありません。

 

特に宣言的記憶の整理が行われていると言われているのがノンレム睡眠中です。

それもノンレム睡眠の中でも特に深い睡眠である徐波睡眠(深睡眠)中であるとされています。

 

これは、有名な記憶と睡眠に関する実験で明らかにされました。

Phihalらが1997年に行った実験で、単語の学習を行ってからレム睡眠が多く出現する睡眠前半3時間の睡眠をとった場合と、深いノンレム睡眠が出現しないように睡眠中に一度覚醒させて学習を行ってから再度睡眠をとる場合のどちらの成績がいいかを調べました。

 

その結果、ノンレム睡眠が多く出現する睡眠前半をしっかり寝た方が結果がいいことがわかりました。

また、同じ実験で全く眠らない場合の実験も行いましたが、結果は途中で覚醒させた場合よりも悪化しました。

 

つまり、睡眠をとった場合の方が記憶力は向上し、特に睡眠前半の深睡眠中に宣言的記憶の整理が行われることがわかりました。

 

学力向上など記憶力の向上には睡眠が必須!

このような実験結果から、睡眠と記憶の関係が示唆されています。

睡眠中はただ休んでいるだけでなく、記憶の強化という脳のメンテナンスを行う生産的な時間です。

これは起きている間ではできない作業です。

新たな記憶が追加されてこない睡眠中だからこそできる、脳のメンテナンスと言えます。

 

そのため、学力向上などの観点からも睡眠時間をしっかり確保する必要があります。

 

子供の場合は大人よりも睡眠時間が必要です。

年齢別の最適な睡眠時間を調べると、小学生では10時間くらいは睡眠時間が必要とされています。

夜9時に寝て朝7時に起きるとちょうど10時間です。

 

昔は夜の9時なら多くの小学生が寝ていたはずですが、最近の小学生で9時に寝ている子は少ないのではないでしょうか?

それはつまり記憶力の悪く、学力の向上が難しい子供が増えているということです。

 

親の睡眠時間にも子供の睡眠時間は左右されます。

夜の12時近くに親に連れられて出歩いている子供を見るケースも少なくありません。

子供にこんな知識はありませんので、親がしっかり自身の睡眠時間も管理し子供の睡眠時間も管理することが求められます。

 

この記事を書いた人
中谷圭太郎

睡眠健康指導士上級、睡眠検定2級。
自分の睡眠障害を対処しつつ、睡眠情報を発信中。

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